【レポート】 放送・通信連携時代のメディア技術開発におけるAWS活用 #AWSメディア業界シンポジウム #AWSSummit
はじめに
清水です。2017/05/30(火)に行われましたAWS Summit Tokyo 2017 Day1 Dive Deep Day AWSメディア業界シンポジウム「放送・通信連携時代のメディア技術開発におけるAWS活用」のセッションレポートになります。
スピーカーは伊藤 正史 氏(株式会社フジテレビジョン 総合技術局 技術業務センター 技術開発部 主任)です。
放送と通信が連携している現在において放送業界では、放送技術だけではなくメディア技術も必要であるという状況、またその中でAWSがどのように活用されているかがわかるセッションでした。
レポート
放送技術の現状
- 放送は激動の時代
- 配信方法
- 様々なデバイス(機器)によるコンテンツ視聴ニーズ
- 視聴データの扱い
- 視聴者プライバシー保護
- 改正個人情報保護法
- 「放送技術」から「メディア技術」へ
技術開発でのAWS導入の背景
視聴デバイスの変化
- PC スマホなどのOTT
- テレビもスマートテレビ、Hybridcast
Hybridcast(1.0)
- TV画面がWebブラウザ画面の状態
- 拡張HTML5ブラウザ(Hybridcastブラウザ)
- CSS,JavaScriptなどが使用できる
- 放送映像はobject要素
- HTTPで通信
- 放送拡張API
- 放送からの情報を使用可能。番組表、放送メッセージ受信、スマホ連携など
Hybridcast配信設備の基本構成
- 2014年の配信設備構築で初めてAWSを使う
- 一般のWebアプリと同様の構成
- EC2,ELB,Route53
当時のAWS導入への課題
- 支払い方法
- 支払い代行サービスの利用
- 社内の理解
- 技術開発とうことで納得させた
- それでも色々言われてしまう…
- まず使ってみるべき
- 若い人は自分でアカウントつくって使っていた
- まず使ってみるべき
その後のAWS活用
現行地上波でのHD・4K切り替え技術支援
- 開発の背景
- 4K放送がすぐに始められるわけではない
- 着想
- Hybridcast2.0は動画再生可能
- MSE/EME API, MPEG-DASH
- H.265/HEVC, 4K/60p
- 組み合わせれば現行地上波でも4K番組を実現可能?
- 概要
- 通常のHDは放送電波から
- 4K配信はインターネットから配信。タイミング同期する
- 4K対応なら4K配信に切り替える
- あたかも4Kが放送されているように
- 配信環境の基本構成
- EC2, ELB, Route53, CloudFront
- Hybridcastの基本構成にCloudFrontが増えただけ
- 他社製CDNもバックアップとして使用
- 配信動画生成の基本構成
- S3にMezzanine Fileを置くとLambdaを呼び出してトランスコード
- トランスコードはEC2でffmpeg、MP4Boxを利用
- トランスコード後はMPEG-DASH形式でS3に保存
- 別途、お台場のAWS ELEMENTAL SERVERでもMPEG-DASHに変換、S3へ保存
- 人間から見たインターフェイスはS3のみ
- 配信でも視聴者の安心、安全に配慮
- 緊急地震速報などの対応
- 割り込みで強制的に放送に戻す
- 放送メッセージ+WebSocket。視聴者の安心、安全を確保
- WebSocketによる放送引き戻し
- 放送だと簡単に割り込みができるが、構成がけっこう大変だった
- 放送特有の課題例1
- スパイクアクセスではなくスクエアアクセスと呼べる
- 番組開始から番組終了まではアクセスがある
- スパイクアクセスではなくスクエアアクセスと呼べる
- 放送着特有の課題例2
- 404 Not Found危険
- Webでは気軽に404を出す場合があるが、放送(Hybridcast上)では致命的
- エラーページをきちんと作成することで対応
- 放送・通信連携特有の情報共有が大事
- 404 Not Found危険
- 実用化
- アドレッサブルテレビ広告の要素を追加
- 住んでいるところでCMを変える。おそらく日本で初めての実施
- アドレッサブルテレビ広告の要素を追加
- Hybridcast普及に向けて
- 放送局のWeb技術者であればAWSを使って容易に試せる
- 技術仕様も公開されている
- Hybridcast対応テレビ、簡易変調器、AWS+ネット環境、があればできる
視聴データ利活用の技術検討
- テレビのUI/UXに関する技術研究
- NHK技研公開2017(5月25日-28日)
- フジテレビ研究協力展示
- 配信と放送の連携、屋外の行動がTV視聴につながる、など
- 見逃し配信をHybridcastにのせる
- NHK技研公開2017(5月25日-28日)
4K素材のオンライン搬入実証実験
- Timetrip軍艦島
- 4K収録素材を長崎(収録地)から編集所へオンライン搬入
- AWSアカウントをB2B連携
- フジテレビのAWSアカウントのS3において、IMAGICAさんAWSアカウントでアクセス
- コンテンツ流通の企業間連携を手軽に実現
- 立ち話ですぐに実現できた
- AWSアカウントをB2B連携
- 4K収録素材を長崎(収録地)から編集所へオンライン搬入
リオ五輪素材伝送の初期検証
- サンパウロリージョンからの素材伝送の検証
- 現地に赴くことなく、伝送速度の検証を実施
まとめ
- 放送業界は激動の時代
- 放送技術からメディア技術へ
- サービス・技術革新の速度がIT化
- 放送でもアジャイル開発が必要
- 放送機器のソフトウェアシフトにより「キーテクノロジの内製化」も可能に
放送・通信連携時代のメディア技術開発
- フルスタックエンジニア
- 放送の部分のスタックも理解しているエンジニアがこれから需要になってくるのでは
- オープン・イノベーション
- 自社だけではダメ
- クラウド
感想
放送技術の中でも様々なところでAWSが活用されていることがわかりました。中でもHybridcastでの4K配信においてAWSが利用されていることは初めて知りました。
またスピーカーの伊藤氏が冒頭に「放送局の人がAWS Summitに登壇者として呼ばれたことが感慨深い」といっていたことが印象深かったです。これからもますます放送と通信が融合していくのではないかと思いました。